貸借対照表(B/S)の読み方|企業の財政状態を把握する

決算書の読み方7分で読める編集部

貸借対照表(B/S:Balance Sheet)は、企業の財政状態を示す決算書です。「ある時点で、企業がどのような財産を持ち、どのように資金を調達しているか」がわかります。

貸借対照表の基本構造

貸借対照表は、左右に分かれた構造をしています。

┌────────────────────────────────────────────┐
│          貸借対照表(2025年3月31日現在)         │
├─────────────────┬──────────────────────────┤
│     資産の部     │        負債の部           │
│  (運用形態)     │     (他人資本)          │
├─────────────────┤                          │
│ 流動資産         │ 流動負債                  │
│  現金及び預金    │  支払手形及び買掛金        │
│  売掛金         │  短期借入金               │
│  棚卸資産       │                          │
│                 ├──────────────────────────┤
│ 固定資産         │ 固定負債                  │
│  有形固定資産    │  長期借入金               │
│  無形固定資産    │  社債                    │
│  投資その他     │                          │
│                 ├──────────────────────────┤
│                 │       純資産の部           │
│                 │     (自己資本)           │
│                 │ 株主資本                  │
│                 │  資本金                   │
│                 │  利益剰余金               │
├─────────────────┼──────────────────────────┤
│   資産合計       │   負債・純資産合計         │
│   100億円       │      100億円              │
└─────────────────┴──────────────────────────┘

重要な原則: 左側(資産)と右側(負債+純資産)は必ず一致します。これが「バランスシート」と呼ばれる理由です。

資産の部

流動資産

1年以内に現金化できる資産です。

項目内容
現金及び預金手元の現金、銀行預金
受取手形・売掛金商品を売ったが、まだ回収していない代金
有価証券短期保有目的の株式・債券
棚卸資産在庫(商品、製品、原材料など)

固定資産

1年以上使用する資産です。

区分
有形固定資産建物、機械装置、土地、車両
無形固定資産特許権、商標権、のれん、ソフトウェア
投資その他子会社株式、長期貸付金

負債の部

流動負債

1年以内に返済が必要な負債です。

項目内容
支払手形・買掛金商品を仕入れたが、まだ支払っていない代金
短期借入金1年以内に返済予定の借入金
未払金給与、税金などの未払い分

固定負債

1年以上先に返済する負債です。

項目内容
長期借入金返済期限が1年以上先の借入金
社債会社が発行した債券
退職給付引当金将来の退職金の積立

純資産の部

返済不要の自己資金です。

項目内容
資本金株主が出資したお金
資本剰余金資本金以外の株主からの払込金
利益剰余金過去の利益の蓄積

利益剰余金がマイナス(累積損失)だと、過去に赤字が続いていたことを示します。

貸借対照表の読み方のポイント

1. 流動比率で短期の支払能力を見る

流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
  • 200%以上: 安全
  • 100%未満: 短期的な資金繰りに注意

2. 自己資本比率で安全性を見る

自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資産 × 100
  • 40%以上: 安全性が高い
  • 20%未満: 借入依存度が高く要注意

3. 売掛金と棚卸資産の増減に注目

売掛金や棚卸資産が売上に比べて急増している場合:

  • 売掛金増加: 回収が滞っている可能性
  • 棚卸資産増加: 売れ残り在庫が増えている可能性

4. 「のれん」の金額をチェック

M&Aで取得した「のれん」(買収プレミアム)が大きい場合、将来の減損リスクがあります。

業種による特徴

製造業

  • 有形固定資産(工場、機械)が多い
  • 棚卸資産(原材料、仕掛品)が多い

IT・サービス業

  • 有形固定資産は少ない
  • 無形固定資産(ソフトウェア)やのれんが多い場合も

小売業

  • 棚卸資産(商品在庫)が多い
  • 店舗の有形固定資産

金融業

  • 有価証券、貸出金など金融資産が大半
  • 一般企業とは構造が大きく異なる

時系列で比較する

単年度だけでなく、過去3〜5年の推移を見ることで:

  • 資産規模の成長
  • 借入金の増減傾向
  • 利益剰余金の積み上がり

などの傾向がわかります。

まとめ

貸借対照表は企業の「財産の状況」を示す書類です。

チェックポイント見るべき項目
資金繰りは大丈夫か流動資産 vs 流動負債
借金は多くないか自己資本比率
資産に問題はないか売掛金・棚卸資産・のれんの推移

次の記事では、損益計算書の読み方を解説します。