キャッシュフロー計算書(C/F)の読み方|企業の資金繰りを理解する

決算書の読み方8分で読める編集部

キャッシュフロー計算書(C/F:Cash Flow Statement)は、企業のお金の流れを示す決算書です。「一定期間で、どこからお金が入り、何に使い、いくら残ったか」がわかります。

なぜキャッシュフローが重要か

企業は「黒字倒産」することがあります。損益計算書で利益が出ていても、実際の現金が不足すれば支払いができず、倒産に至ります。

利益とキャッシュが異なる理由:

  • 売上を計上しても、現金回収は後になる(売掛金)
  • 設備投資は費用として計上されるのは減価償却費だけ
  • 借入金の返済は費用にならない

そのため、損益計算書だけでなく、実際のお金の動きを把握することが重要です。

キャッシュフロー計算書の基本構造

キャッシュフローは3つの活動区分に分かれています。

┌───────────────────────────────────────────┐
│     キャッシュフロー計算書(期間:1年間)        │
├───────────────────────────────────────────┤
│ Ⅰ. 営業活動によるキャッシュフロー    +500    │
│    (本業でのお金の出入り)                   │
├───────────────────────────────────────────┤
│ Ⅱ. 投資活動によるキャッシュフロー    -300    │
│    (設備投資などでのお金の出入り)            │
├───────────────────────────────────────────┤
│ Ⅲ. 財務活動によるキャッシュフロー    -100    │
│    (資金調達・返済でのお金の出入り)          │
├───────────────────────────────────────────┤
│ 現金及び現金同等物の増減額            +100    │
│ 現金及び現金同等物の期首残高          200     │
├───────────────────────────────────────────┤
│ 現金及び現金同等物の期末残高          300     │
└───────────────────────────────────────────┘

3つの活動区分を理解する

1. 営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)

本業で得たお金の流れです。最も重要な項目と言えます。

プラス要因:

  • 商品・サービスの販売による現金収入
  • 売掛金の回収
  • 仕入債務の増加

マイナス要因:

  • 商品の仕入、経費の支払い
  • 売掛金の増加
  • 棚卸資産(在庫)の増加
  • 法人税の支払い

ポイント: 営業CFがマイナスの企業は、本業でお金を稼げていない危険信号です。

2. 投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)

将来のための投資に関するお金の流れです。

プラス要因:

  • 固定資産の売却
  • 有価証券の売却
  • 子会社株式の売却

マイナス要因:

  • 設備投資(工場、機械、店舗など)
  • 有価証券の取得
  • M&A(子会社株式の取得)

ポイント: 成長企業は投資CFがマイナス(積極投資)になる傾向があります。

3. 財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)

資金調達・返済に関するお金の流れです。

プラス要因:

  • 借入金の調達
  • 社債の発行
  • 株式の発行(増資)

マイナス要因:

  • 借入金の返済
  • 社債の償還
  • 配当金の支払い
  • 自社株買い

ポイント: 財務CFがマイナスの場合、借入返済や株主還元を行っていることを意味します。

キャッシュフローのパターン分析

3つのCFの組み合わせで、企業の状況を推測できます。

営業CF投資CF財務CF企業の状況
+優良型: 本業で稼ぎ、投資し、借入返済も
++積極投資型: 借入して大型投資を実行中
++リストラ型: 資産売却で借入返済
+++資金確保型: 資産売却・借入で現金確保
++危機型: 本業不振、資産売却・借入で補填
+先行投資型: まだ本業が軌道に乗っていない
+衰退型: 本業不振、資産売却中
破綻懸念: 全方面でキャッシュ流出

優良企業の典型パターン

営業CF: +500(本業でしっかり稼ぐ)
投資CF: -300(成長投資を継続)
財務CF: -100(借入返済・配当支払い)
─────────────
増減:   +100

フリーキャッシュフロー(FCF)

企業が自由に使えるお金を示す重要な指標です。

フリーキャッシュフロー = 営業CF + 投資CF

FCFがプラス: 本業で稼いだ以上の投資はしていない。借入返済や株主還元に回せる余裕がある。

FCFがマイナス: 投資が営業CFを上回っている。成長投資の場合は問題ないが、継続すると資金繰りに注意。

キャッシュフロー計算書の読み方のポイント

1. 営業CFと当期純利益を比較

営業CFが当期純利益より大きい → 健全
営業CFが当期純利益より小さい → 利益の質に要注意

利益が出ているのに営業CFが小さい場合、売掛金や在庫が増えている可能性があります。

2. 減価償却費の影響を確認

減価償却費は「お金の支出を伴わない費用」です。営業CFには加算されます。

設備投資が多い企業は減価償却費が大きく、営業CFが良く見える傾向があります。

3. 運転資本の変動に注目

項目増加時減少時
売掛金CF減少CF増加
棚卸資産CF減少CF増加
買掛金CF増加CF減少

売上が増えると売掛金も増え、一時的に営業CFが悪化することがあります。

4. 投資CFの内訳を確認

投資CFがマイナスでも、内容によって評価が変わります。

  • 設備投資: 成長のための前向きな投資
  • M&A: シナジー効果が期待できるか
  • 有価証券購入: 余剰資金の運用か、本業と関係あるか

まとめ

キャッシュフロー計算書は企業の「お金の流れ」を示す書類です。

チェックポイント見るべき項目
本業で稼げているか営業CFがプラスか
投資は適切か投資CFの内訳と金額
財務状況は健全か財務CFと借入金の動向
自由に使えるお金はフリーキャッシュフロー

次の記事では、財務三表から計算できる主要な財務指標について解説します。