決算短信の読み方|最速で業績を把握する方法

決算書の読み方10分で読める編集部

決算短信は、上場企業が決算発表時に公表する速報資料です。有価証券報告書より早く公開されるため、投資家が最速で業績を把握するための重要な情報源となっています。

決算短信とは

概要

決算短信は、東京証券取引所の規則に基づいて上場企業が作成する決算の速報資料です。

項目内容
提出先証券取引所
開示タイミング決算日後45日以内が目標
内容業績サマリー、財務諸表、業績予想など
監査監査報告書の添付は不要(発表時点で監査手続中の場合あり)

有価証券報告書との違い

項目決算短信有価証券報告書
開示時期決算後45日以内目標決算後3ヶ月以内
監査報告書添付不要添付必須
詳細度要約版詳細版
提出先証券取引所金融庁(EDINET)
主な用途速報としての業績把握詳細な企業分析

決算短信の構成

決算短信は主に以下の構成になっています。

1. サマリー情報(1ページ目)

最も重要な部分です。以下の情報がコンパクトにまとまっています。

連結経営成績:

  • 売上高(前年同期比 %)
  • 営業利益(前年同期比 %)
  • 経常利益(前年同期比 %)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益(前年同期比 %)
  • 1株当たり当期純利益(EPS)

連結財政状態:

  • 総資産
  • 純資産
  • 自己資本比率
  • 1株当たり純資産(BPS)

連結キャッシュフローの状況:

  • 営業活動によるCF
  • 投資活動によるCF
  • 財務活動によるCF
  • 現金及び現金同等物期末残高

配当の状況:

  • 1株当たり配当金
  • 配当性向

業績予想:

  • 来期の売上高、各利益の予想
  • 前期比の増減率

2. 添付資料

サマリーの後に、より詳細な情報が添付されています。

  • 経営成績等の概況
  • 会計方針に関する事項
  • 連結財務諸表(貸借対照表、損益計算書、CF計算書)
  • セグメント情報
  • その他の注記

決算短信の読み方

ステップ1: サマリーで全体像を把握

1ページ目のサマリーで、まず以下を確認します。

チェック項目見るポイント
売上高成長しているか、予想と比較
営業利益本業の収益力
経常利益財務活動含めた収益力
純利益最終的な利益
自己資本比率財務の安全性
EPS前期比での増減

ステップ2: 前年比と予想との比較

前年同期比:

  • プラスかマイナスか
  • 増減率の大きさ

会社予想との比較(期中の場合):

  • 進捗率は順調か
  • 上方修正・下方修正はあるか

ステップ3: 業績予想を確認

来期(または通期)の業績予想を確認します。

注目ポイント内容
増収増益予想か成長継続の見通し
予想の根拠添付資料に記載
前回予想からの修正上方・下方修正の有無

ステップ4: キャッシュフローを確認

利益が出ていても、キャッシュフローが悪ければ要注意です。

理想的なパターン:
営業CF: プラス(本業で稼げている)
投資CF: マイナス(成長投資を継続)
財務CF: マイナス(借入返済・配当)

ステップ5: 添付資料で詳細確認

気になる点があれば、添付資料で詳細を確認します。

  • セグメント別の業績
  • 特別損益の内容
  • 会計方針の変更

注目すべきポイント

1. 業績予想の修正

決算発表と同時に、業績予想の修正が発表されることがあります。

修正の種類株価への影響
上方修正プラス要因
下方修正マイナス要因
据え置き織り込み済み

2. 進捗率

通期予想に対する進捗率を計算します。

進捗率 = 累計実績 ÷ 通期予想 × 100

例:第2四半期までの進捗率
50%以上 → 順調
40〜50% → やや低調
40%未満 → 要注意

ただし、季節性のある業種は注意が必要です。

3. 特別損益

大きな特別損失がある場合、内容を確認しましょう。

項目意味
減損損失資産価値の低下
事業構造改革費用リストラ費用
関係会社株式評価損子会社・関連会社の業績悪化

4. 配当の変更

増配・減配・無配転落は、企業の状況を反映しています。

変更考えられる背景
増配業績好調、株主還元強化
減配業績悪化、投資資金確保
無配財務悪化、創業初期

5. 自社株買いの発表

決算と同時に自社株買いが発表されることがあります。株価にはプラス要因です。

決算発表スケジュール

四半期決算

四半期決算期間発表時期(3月決算の場合)
第1四半期4-6月7-8月
第2四半期4-9月10-11月
第3四半期4-12月1-2月
通期4-3月4-5月

決算発表の集中日

3月決算企業が多い日本では、5月中旬に決算発表が集中します。

決算短信の入手方法

1. 企業のIRサイト

企業のホームページ→IR情報→決算短信

2. 適時開示情報閲覧サービス(TDnet)

東京証券取引所が運営するシステムで、リアルタイムで閲覧可能。

https://www.release.tdnet.info/inbs/I_main_00.html

3. 当サイト

上場企業の詳細ページから、EDINETの開示書類一覧にアクセスできます。

よくある質問

Q: 決算短信は監査を受けていない?

A: 上場企業は監査を受ける義務がありますが、決算短信は発表時点で監査手続が完了していない場合があり、監査報告書の添付も必須ではありません。そのため、後日公表される有価証券報告書で数字が修正されることがまれにあります。

Q: 「予想」と「見通し」の違いは?

A: 基本的に同じ意味で使われます。会社が合理的に予測した将来の業績です。

Q: なぜ「45日以内」なのか?

A: 東証のルールで、決算日後45日以内の開示が「望ましい」とされています。ただし強制ではなく、60日程度かかる企業もあります。

まとめ

決算短信を読む際のチェックリスト:

項目確認内容
売上高・利益前年比、予想比での増減
利益率改善or悪化
キャッシュフロー営業CFがプラスか
業績予想来期の見通し、修正の有無
配当増配・減配の有無
特別損益大きな損失はないか

決算短信は速報性が高いため、投資判断に即座に活用できます。ただし、詳細な分析には有価証券報告書も併せて確認することをお勧めします。

次の記事では、有価証券報告書の読み方を解説します。