主要な財務指標の見方|収益性・安全性・効率性を測る

決算書の読み方8分で読める編集部

財務指標とは、決算書の数字を使って計算する比率です。金額だけでは比較しにくい企業の状態を、指標化することで客観的に評価できます。

財務指標の4つの視点

企業を分析する際、以下の4つの視点から財務指標を見ることが重要です。

視点何を見るか代表的な指標
収益性どれだけ効率よく稼いでいるかROE、ROA、営業利益率
安全性倒産リスクはないか自己資本比率、流動比率
効率性資産を有効活用しているか総資産回転率、在庫回転率
成長性どれだけ成長しているか売上高成長率、EPS成長率

収益性の指標

ROE(自己資本利益率)

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

株主のお金をどれだけ効率よく増やしているかを示します。

水準評価
15%以上優良
10〜15%良好
8〜10%平均的
8%未満要改善

※日本企業の平均は約9%、米国企業は約15%

ROA(総資産利益率)

ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100

会社全体の資産をどれだけ効率よく使っているかを示します。

水準評価
5%以上良好
3〜5%平均的
3%未満要改善

売上高営業利益率

営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100

本業でどれだけ利益を出しているかを示します。

水準評価
10%以上高収益
5〜10%良好
3〜5%平均的
3%未満薄利

※業種により大きく異なるため、同業他社との比較が重要

安全性の指標

自己資本比率

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100

返済不要の自己資金の割合を示します。高いほど財務的に安定しています。

水準評価
50%以上非常に安全
40〜50%安全
20〜40%普通
20%未満要注意

流動比率

流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100

短期的な支払能力を示します。

水準評価
200%以上安全
120〜200%普通
100〜120%やや低い
100%未満要注意

当座比率

当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100
※当座資産 = 現金 + 売掛金 + 有価証券(棚卸資産を除く)

流動比率より厳しく、すぐに現金化できる資産での支払能力を見ます。100%以上が目安です。

有利子負債比率

有利子負債比率 = 有利子負債 ÷ 自己資本 × 100

借入金への依存度を示します。100%以下が望ましいとされます。

効率性の指標

総資産回転率

総資産回転率 = 売上高 ÷ 総資産(回)

資産を売上獲得にどれだけ有効活用しているかを示します。

水準評価
1.5回以上効率的
1.0〜1.5回普通
1.0回未満資産効率が低い

売掛金回転期間

売掛金回転期間 = 売掛金 ÷ (売上高 ÷ 12)(ヶ月)

売上代金を回収するまでの期間を示します。短いほど良いです。

棚卸資産回転期間

棚卸資産回転期間 = 棚卸資産 ÷ (売上原価 ÷ 12)(ヶ月)

在庫が売れるまでの期間を示します。長期化は在庫滞留のサインです。

成長性の指標

売上高成長率

売上高成長率 = (今期売上高 − 前期売上高) ÷ 前期売上高 × 100

売上の伸び率を示します。

営業利益成長率

営業利益成長率 = (今期営業利益 − 前期営業利益) ÷ 前期営業利益 × 100

本業の利益の伸び率を示します。売上成長率より高ければ、収益性が改善しています。

EPS成長率

EPS成長率 = (今期EPS − 前期EPS) ÷ 前期EPS × 100
※EPS(1株当たり利益)= 当期純利益 ÷ 発行済株式数

株主にとっての利益の伸びを示します。

指標を使う際の注意点

1. 業種平均と比較する

業種によって適正な水準は大きく異なります。

業種営業利益率自己資本比率
ソフトウェア15〜25%50〜70%
小売2〜5%30〜50%
製造5〜10%40〜60%
不動産10〜20%20〜40%

2. 時系列で傾向を見る

単年度の数字だけでなく、3〜5年の推移を見ることで:

  • 改善傾向にあるか
  • 悪化し始めているか がわかります。

3. 複数の指標を組み合わせる

1つの指標だけで判断するのは危険です。

例:ROEが高い企業でも…

  • 自己資本比率が低い → 借入で膨らませている可能性
  • 営業CFがマイナス → 利益の質に問題がある可能性

4. 定性情報も合わせて見る

数字だけでなく、以下も重要です:

  • 事業内容の変化
  • 経営陣の交代
  • 競合環境の変化
  • 規制や市場の動向

まとめ

視点主要指標チェックポイント
収益性ROE、営業利益率10%以上あるか
安全性自己資本比率、流動比率40%以上、200%以上
効率性総資産回転率1回以上あるか
成長性売上高成長率業界平均を上回るか

次の記事では、特に重要なROE・ROAについて詳しく解説します。