海外企業の日本拠点、法人番号で何がわかる?
海外企業と取引しようとすると、「日本支店」「日本法人(子会社)」「駐在員事務所」など似た言葉が出てきます。ここを混同すると、契約書の名義や請求先、与信判断でミスが起きがちです。
法人番号の観点から整理すると、見分けがかなりラクになります。ポイントは**「日本にある拠点」が法的に何者か**です。
法人番号が付く/付かないの大枠
まず結論を押さえましょう。
| 拠点の種類 | 法人番号 | 契約主体 |
|---|---|---|
| 日本法人(子会社) | 付く | 子会社自身 |
| 日本支店(外国会社) | 付く場合あり | 外国本社 |
| 駐在員事務所 | 付かない | 外国本社または個人 |
法人番号で検索してヒットするなら「少なくとも日本の制度上の主体として扱える可能性が高い」と判断できます。ヒットしないからといって即危険ではありませんが、契約主体をどこに置くかの確認が必要になります。
日本法人(子会社):いちばん分かりやすい
海外本社が100%出資していても、日本で設立された株式会社や合同会社は、法的には日本の会社です。
特徴
- 法人格: 独立した法人格を持つ
- 契約主体: その日本法人(社名・所在地・代表者)
- 請求・支払い: 日本の銀行口座、国内税務の枠組みで処理される
- 法人番号: 日本法人固有の番号が付く(本社とは別の番号)
見分け方
会社名に「株式会社」「合同会社」など日本の法人形態が含まれていれば、日本法人(子会社)の可能性が高いです。
例:
- アマゾンジャパン合同会社
- Apple Japan合同会社
- Google合同会社
- 日本マイクロソフト株式会社
注意点
日本法人が小規模で設立間もない場合、本社ブランドの安心感だけで与信判断をするとズレることがあります。**「契約主体がどの器か」**を法人番号で確認しておくと安心です。
日本支店(外国会社):本社の「一部分」
日本支店は、見た目は「○○社 日本支店」ですが、法的には**「日本で設立された別会社」ではなく、外国会社の活動拠点**です。
特徴
- 法人格: なし(外国本社の一部)
- 契約主体: 外国会社そのもの(契約書の正式名称に注意)
- 責任: 支店の活動で生じた債権債務は、最終的に外国本社に帰属
- 法人番号: 一定の届出をすると付与される
法人番号が付与される条件
国税庁の説明によると、外国法人は支店登記をしただけでは法人番号は指定されません。以下の場合に付与されます。
- 税務署に「給与支払事務所等の開設届出書」「法人設立届出書」「消費税課税事業者届出書」などを提出した場合
- 国税庁長官への届出書を提出した場合
実務での注意点
- 「支店名義で請求書が来たけど、契約書の当事者が本社名義だった」
- 「支店は閉鎖したが本社は存続している」
このように拠点の変化と主体の存続がズレる事態が起こりがちです。法人番号検索は、この「主体の器」を確認する入口として役立ちます。
駐在員事務所:契約主体になれない
駐在員事務所は、市場調査・連絡業務などを行うための拠点で、営業活動(売買契約の締結)を行えない形で運用されます。
特徴
- 法人格: なし
- 登記: 不要(法務局に登記されない)
- 契約主体: 海外本社または代表者個人が当事者になる
- 支払い: 海外送金や別会社経由になることがある
- 法人番号: 付与されない
なぜ法人番号が付かないのか
駐在員事務所は以下の理由から、法人番号の付与対象となりません。
- 設立登記がない(法務局への登記不要)
- 法人格を有しない
- 営業活動ができない(収益を伴う活動不可)
- 法人税・消費税の申告納税義務がない
実務での注意点
「名刺に日本住所が書いてあっても、契約相手が日本の法人とは限らない」という点が重要です。法人番号が見つからない場合、**契約書の当事者(法人名・所在地・準拠法)**を丁寧に確認しましょう。
見分けの実践チェックリスト
取引や審査で迷ったら、次の順番で確認すると実務的です。
ステップ1:法人番号を検索
請求書・契約書・会社サイトの正式名称で当サイトを検索します。
ステップ2:検索結果を確認
ヒットした場合:
- 法人種別を確認(株式会社/合同会社 → 日本法人、外国会社等 → 日本支店)
- 本店所在地が日本か海外かを確認
ヒットしない場合:
- 駐在員事務所の可能性
- または、まだ法人番号を取得していない外国会社
ステップ3:契約主体を特定
| 状況 | 契約主体 |
|---|---|
| 「株式会社○○」「○○合同会社」 | その日本法人 |
| 「○○ Inc. 日本支店」で法人番号あり | 外国本社(○○ Inc.) |
| 法人番号なし・駐在員事務所 | 外国本社または代表者個人 |
ステップ4:請求・支払いの確認
- 日本法人なら日本の銀行口座への振込が一般的
- 支店・駐在員事務所なら海外送金の可能性あり
- 税務上の取り扱い(源泉徴収など)も異なる場合がある
当サイトでの検索方法
外国会社を探す
検索時に「法人種別」を「外国会社等」に絞り込むと、日本支店として登記されている外国会社を検索できます。
外資系の日本法人を探す
「アマゾン」「グーグル」「マイクロソフト」など、会社名で検索すると日本法人がヒットします。
まとめ
| 確認ポイント | 日本法人(子会社) | 日本支店 | 駐在員事務所 |
|---|---|---|---|
| 法人番号 | あり | あり(届出後) | なし |
| 法人格 | 独立 | なし(本社の一部) | なし |
| 契約主体 | 子会社自身 | 外国本社 | 外国本社/個人 |
| 営業活動 | 可能 | 可能 | 不可 |
| 銀行口座 | 日本で開設可 | 日本で開設可 | 不可(個人名義は可) |
海外企業との取引は、言葉の印象で判断すると事故が起きます。法人番号は、その事故を減らすための「地図の凡例」です。
「拠点」と「主体」を分けて、契約主体を番号で確認する。これだけで、請求・支払い・与信・トラブル対応の難易度が一段下がります。