損益計算書(P/L)の読み方|企業の収益力を分析する
損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)は、企業の経営成績を示す決算書です。「一定期間で、いくら稼いで、いくら使い、いくら利益が残ったか」がわかります。
損益計算書の基本構造
損益計算書は、売上から費用を順番に引いていき、最終的な利益を計算する形式になっています。
売上高 1,000
┌─────────────────────────────┐
│ - 売上原価 600 │
├─────────────────────────────┤
│ = 売上総利益 400 │ ← 粗利
├─────────────────────────────┤
│ - 販売費及び一般管理費 250 │
├─────────────────────────────┤
│ = 営業利益 150 │ ← 本業の利益
├─────────────────────────────┤
│ + 営業外収益 20 │
│ - 営業外費用 10 │
├─────────────────────────────┤
│ = 経常利益 160 │ ← 通常の利益
├─────────────────────────────┤
│ + 特別利益 30 │
│ - 特別損失 50 │
├─────────────────────────────┤
│ = 税引前当期純利益 140 │
├─────────────────────────────┤
│ - 法人税等 42 │
├─────────────────────────────┤
│ = 当期純利益 98 │ ← 最終利益
└─────────────────────────────┘
5つの利益を理解する
1. 売上総利益(粗利)
売上総利益 = 売上高 − 売上原価
商品やサービスを売って得られる直接的な利益です。
- 製造業: 製品の製造コストを引いた利益
- 小売業: 商品の仕入コストを引いた利益
- サービス業: サービス提供の直接コストを引いた利益
売上総利益率(粗利率) = 売上総利益 ÷ 売上高 × 100
2. 営業利益
営業利益 = 売上総利益 − 販売費及び一般管理費
本業で稼いだ利益です。企業の競争力を最もよく表す指標と言われます。
販売費及び一般管理費(販管費)には:
- 人件費
- 広告宣伝費
- 減価償却費
- 賃借料
- 研究開発費
などが含まれます。
営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
3. 経常利益
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用
通常の企業活動から得られる利益です。本業以外の財務活動なども含みます。
| 営業外収益 | 営業外費用 |
|---|---|
| 受取利息 | 支払利息 |
| 受取配当金 | 為替差損 |
| 有価証券売却益 | 有価証券売却損 |
借入金が多い企業は支払利息が大きく、営業利益より経常利益が低くなります。
4. 税引前当期純利益
税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 − 特別損失
特別損益は、臨時的・例外的な損益です。
| 特別利益 | 特別損失 |
|---|---|
| 固定資産売却益 | 固定資産売却損 |
| 投資有価証券売却益 | 投資有価証券売却損 |
| 子会社株式売却益 | 減損損失 |
| 災害損失 | |
| リストラ費用 |
特別損益は毎年発生するものではないため、企業の実力を見る際は除いて考えることが多いです。
5. 当期純利益
当期純利益 = 税引前当期純利益 − 法人税等
最終的に残った利益です。この金額は貸借対照表の純資産(利益剰余金)の増減要因となります。ただし、配当金の支払いや自己株式の取得などにより利益剰余金が減少することもあるため、当期純利益がそのまま利益剰余金の増加額になるわけではありません。
損益計算書の読み方のポイント
1. 各利益率を計算して業界平均と比較
| 指標 | 計算式 | 目安 |
|---|---|---|
| 売上総利益率 | 売上総利益÷売上高 | 業種により大きく異なる |
| 営業利益率 | 営業利益÷売上高 | 5%以上が一般的な目標 |
| 経常利益率 | 経常利益÷売上高 | 営業利益率と比較 |
| 当期純利益率 | 当期純利益÷売上高 | 3〜5%程度 |
2. 営業利益と経常利益の差に注目
- 営業利益 > 経常利益: 支払利息が多い(借入依存)
- 営業利益 < 経常利益: 金融収益が多い(資産運用型)
3. 特別損益の内容を確認
大きな特別損失がある場合、その内容を確認しましょう。
- 減損損失: 将来の収益力低下を示す
- リストラ費用: 一時的なコストだが、構造改革の兆候
4. 前年比較で増減の要因を分析
| チェック項目 | 分析ポイント |
|---|---|
| 売上高の増減 | 数量増?価格上昇? |
| 原価率の変動 | 原材料費の上昇?製造効率の変化? |
| 販管費の増減 | 人員増?広告投資? |
5. セグメント別の収益を確認
複数事業を持つ企業の場合、セグメント情報を確認することで:
- どの事業が稼ぎ頭か
- 赤字事業はないか
- 成長事業はどれか
がわかります。
業種による特徴
製造業
- 売上原価に製造コストが含まれる
- 減価償却費が大きい
- 研究開発費が販管費に計上
小売業
- 売上原価は仕入価格
- 粗利率が比較的低い(20〜40%程度)
- 店舗の賃借料が大きい
IT・ソフトウェア業
- 売上原価が比較的小さい
- 粗利率が高い(70〜90%も)
- 人件費が販管費の大部分
サービス業
- 売上原価は直接人件費など
- 在庫を持たない場合が多い
まとめ
損益計算書は企業の「稼ぐ力」を示す書類です。
| チェックポイント | 見るべき項目 |
|---|---|
| 本業で儲かっているか | 営業利益・営業利益率 |
| 借入の負担は大きくないか | 営業利益と経常利益の差 |
| 一時的な損益はないか | 特別損益の内容 |
| 成長しているか | 前年比での売上・利益の推移 |
次の記事では、キャッシュフロー計算書の読み方を解説します。