会社の目的欄から分かること|登記簿の読み方

会社の登記簿から分かること8分で読める編集部

登記簿の「目的」欄には、会社が行う事業内容が列挙されています。この情報から、会社の事業範囲や許認可の必要性、事業戦略の変遷などを読み取ることができます。

会社の目的とは

会社の目的とは、その会社が行うことができる事業の範囲を定めたものです。定款に記載され、登記されます。

目的の法的意味

会社は登記された目的の範囲内で事業を行うことが原則です。目的外の事業を行う場合は、定款変更と登記が必要になります。

目的
 1. ソフトウェアの開発及び販売
 2. インターネットを利用した各種情報提供サービス
 3. 経営コンサルティング業務
 4. 前各号に附帯関連する一切の事業

目的欄から読み取れる情報

1. 主要な事業内容

目的の最初に記載されている項目が、主要な事業であることが多いです。

記載順意味
1番目主たる事業(設立時の目的)
2〜5番目関連事業、副業
最後「前各号に附帯する一切の事業」(包括条項)

2. 事業の多角化状況

目的の数が多い会社は、事業を多角化している可能性があります。

目的の数推測されること
3〜5個特定分野に集中
10〜20個多角経営、または将来の拡大を見据えている
30個以上持株会社、または過度に広い目的設定

3. 許認可が必要な事業

特定の事業には許認可が必要です。目的欄からその可能性を確認できます。

目的の記載例必要な許認可
建設業建設業許可
宅地建物取引業宅建業免許
人材派遣業派遣事業許可
産業廃棄物処理業産廃処理業許可
旅行業旅行業登録
飲食店の経営食品営業許可
古物商古物商許可

目的に記載があっても、実際に許認可を取得しているかは別途確認が必要です。

4. 取引との整合性

取引しようとする内容が、相手の会社の目的に含まれているか確認しましょう。

: IT開発を依頼する場合

  • 目的に「ソフトウェアの開発」がある → OK
  • 目的に関連する記載がない → 確認が必要

目的変更の履歴を確認する

履歴事項全部証明書では、過去の目的変更履歴を確認できます。

目的追加のパターン

変更内容考えられる理由
新規事業の追加事業拡大、多角化
関連事業の追加既存事業の周辺領域への進出
許認可事業の追加新たな許認可取得の準備

目的削除のパターン

変更内容考えられる理由
特定事業の削除事業撤退
整理・統合目的の明確化

目的の記載ルール

適法性

違法な事業は目的として登記できません。

営利性

会社は営利法人のため、営利目的でない事業は記載できません(ボランティア活動など)。

明確性

以前は「明確性の原則」が厳格でしたが、現在は緩和されています。

以前現在
具体的に記載必要一般的な表現でも可
「○○業」と明示「○○に関する事業」でも可

包括条項

多くの会社が最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」という包括条項を入れています。これにより、関連事業の柔軟な展開が可能になります。

目的欄の調査ポイント

1. 主要事業との整合性

会社のウェブサイトや説明と、登記された目的が一致しているか確認しましょう。

2. 許認可事業の確認

許認可が必要な事業が目的にある場合、実際に許認可を取得しているか確認しましょう。

  • 建設業: 国土交通省の建設業者検索
  • 宅建業: 国土交通省の宅建業者検索
  • 人材派遣: 厚生労働省の許可事業所検索

3. 目的の変更頻度

頻繁な目的変更は、事業の方向性が定まっていない可能性があります。

目的が多すぎる会社の注意点

目的が極端に多い会社(30〜50個以上)は、以下の可能性があります。

可能性説明
持株会社グループ全体の事業をカバー
将来の拡大を見据えている目的追加の手間を省く
実態が不明確何をしている会社か分かりにくい

実際の事業内容は、ウェブサイトや信用調査で確認することをおすすめします。

まとめ

目的欄から以下の情報を読み取ることができます。

確認項目分かること
記載内容事業の範囲
記載順序主要事業の推測
目的の数事業の多角化状況
許認可事業必要な許認可の有無
変更履歴事業戦略の変遷

次の記事では、資本金から分かることを解説します。