資本金から分かること|登記簿の読み方

会社の登記簿から分かること9分で読める編集部

登記簿の「資本金の額」欄には、会社の資本金が記載されています。資本金は会社の規模や信用度を測る一つの指標となりますが、その意味を正しく理解することが重要です。

資本金とは

資本金とは、株主が会社に出資した金額のうち、資本金として計上された金額です。会社設立時や増資時に、株主から払い込まれた金額がベースになります。

資本金の法的意味

項目説明
最低資本金1円以上(2006年会社法施行後)
債権者保護資本金は配当に使えない(維持義務)
登記事項変更時は登記が必要

資本金と純資産の違い

項目資本金純資産
意味出資された金額会社の正味財産
変動増資・減資時のみ利益・損失で変動
確認方法登記簿決算書(貸借対照表)

資本金が大きくても、累積赤字で純資産がマイナス(債務超過)の会社もあります。

資本金から読み取れる情報

1. 会社の規模感

資本金は会社の規模を測る目安になりますが、絶対的な基準ではありません。

資本金一般的なイメージ
1〜100万円小規模、個人事業の法人化
100万〜1,000万円中小企業
1,000万〜1億円中堅企業
1億円超大企業

2. 法的な区分

資本金の額によって、法的な取り扱いが変わります。

資本金区分・影響
5億円以上会社法上の「大会社」(※負債200億円以上でも該当)→会計監査人の設置が必須
1億円超税法上の大企業扱い(中小企業の軽減税率等の適用外)
1,000万円超消費税の初年度免税なし
1,000万円以下消費税の初年度(条件付きで2年目も)免税

※有価証券報告書の提出義務は資本金ではなく、上場会社や有価証券届出書を提出した会社等が対象です。

3. 信用度の目安

取引先や金融機関は、資本金を信用度の一つの指標として見ることがあります。

  • 資本金1,000万円以上: 一定の信用度
  • 資本金100万円以下: 設立間もない、または小規模

ただし、資本金だけで信用度は判断できません。業績や財務状況の確認が重要です。

資本金の変動履歴を確認する

履歴事項全部証明書では、増資・減資の履歴を確認できます。

増資(資本金の増加)

資本金の額  金5000万円
   令和5年6月15日変更
   令和5年6月30日登記

【変更前】
資本金の額  金1000万円

増資の理由として考えられること:

理由説明
事業拡大設備投資、人員増強の資金
信用力向上取引先や金融機関からの信用確保
外部からの出資ベンチャーキャピタル、事業会社からの投資
資金繰り改善運転資金の確保

減資(資本金の減少)

資本金の額  金1000万円
   令和5年9月1日変更
   令和5年9月15日登記

【変更前】
資本金の額  金5000万円

減資の理由として考えられること:

理由説明
累積赤字の解消欠損填補(資本金で赤字を穴埋め)
節税対策資本金1億円以下で中小企業の税制優遇
配当原資の確保資本金を利益剰余金に振り替え
株主への払い戻し有償減資

減資は要注意

減資は経営上の理由があることが多いため、注意が必要です。

  • 欠損填補のための減資: 累積赤字があった可能性
  • 資本金1億円以下への減資: 税法上の大企業が中小企業扱いになる(税制目的の可能性)
  • 頻繁な増減資: 経営の不安定さ

資本金の調査ポイント

1. 設立時からの推移を確認

設立時の資本金と現在を比較することで、会社の成長度合いを推測できます。

パターン推測
設立時100万円→現在1億円順調に成長、外部資金調達
設立時1億円→変化なし自己資金で運営、または停滞
設立時1億円→現在1000万円減資の経緯を要確認

2. 業界平均との比較

同業他社と比較することで、相対的な規模感を把握できます。

3. 資本金と事業規模の整合性

資本金が極端に小さいのに大規模な事業を行っている場合、親会社や関連会社の支援がある可能性があります。

資本金1円の会社

2006年以降、資本金1円でも会社設立が可能になりました。

資本金1円のメリット・デメリット

メリットデメリット
設立費用を抑えられる信用度が低い
手軽に起業できる取引先から敬遠される可能性
融資を受けにくい

資本金1円の会社が必ずしも危険というわけではありませんが、他の情報と合わせて判断することが重要です。

まとめ

資本金欄から以下の情報を読み取ることができます。

確認項目分かること
資本金の額会社の規模感、法的区分
増資の履歴成長、外部資金調達
減資の履歴経営上の課題の可能性
設立時との比較会社の成長度合い

資本金は重要な指標ですが、これだけで会社を評価することはできません。決算情報や事業内容と合わせて総合的に判断しましょう。

次の記事では、役員欄から分かることを解説します。