登記履歴から分かること|登記簿の読み方

会社の登記簿から分かること8分で読める編集部

登記簿には、会社設立から現在までの変更履歴が記録されています。「履歴事項全部証明書」を取得することで、過去の変更内容を確認し、会社の歩みを追うことができます。

登記履歴とは

登記履歴とは、会社の登記事項に変更があった際に記録される変更の経緯です。履歴事項全部証明書では、現在の情報に加えて過去3年分の変更履歴を確認できます。

証明書の種類と履歴

証明書の種類履歴の範囲
現在事項全部証明書現在有効な情報のみ
履歴事項全部証明書現在+過去3年分の変更履歴
閉鎖事項全部証明書閉鎖された登記事項(3年超の履歴含む)

登記履歴の読み方

基本的な記載形式

変更があった項目には、変更日と登記日が記載されます。

本店  東京都渋谷区○○一丁目2番3号
   令和5年4月1日移転
   令和5年4月15日登記

本店  東京都新宿区△△二丁目3番4号
   【下線】← 抹消された事項を示す
  • 変更日: 実際に変更が生じた日
  • 登記日: 法務局に登記申請をして受理された日

下線の意味

抹消された(現在は無効な)事項には下線が引かれます。

主な変更パターンと意味

1. 商号変更

商号  株式会社ニューカンパニー
   令和5年10月1日変更

商号  株式会社オールドカンパニー
   【下線】

考えられる理由:

  • ブランドイメージの刷新
  • 事業内容の変化
  • M&A・グループ再編
  • 風評対策

2. 本店移転

本店  東京都港区○○
   令和5年6月1日移転

本店  東京都品川区△△
   【下線】

考えられる理由:

  • 事業拡大によるオフィス移転
  • コスト削減
  • 事業拠点の変更

3. 目的変更

目的
 1. 新規事業A
 2. 新規事業B
 3. 既存事業C
   令和5年8月1日変更

考えられる理由:

  • 新規事業への進出
  • 事業撤退
  • 許認可取得のための追加

4. 資本金の変更

資本金の額  金5000万円
   令和5年3月15日変更

資本金の額  金1000万円
   【下線】

増資の理由: 事業拡大、信用力向上、外部資金調達 減資の理由: 欠損填補、税制上のメリット

5. 役員変更

取締役    新任太郎
   令和5年6月25日就任

取締役    退任次郎
   令和5年6月25日退任
   【下線】

考えられる理由:

  • 任期満了
  • 自己都合退任
  • 解任
  • 経営体制の刷新

登記履歴から読み取るポイント

1. 変更の頻度

変更の頻度から、会社の安定性を推測できます。

変更頻度評価
年1〜2回程度通常(役員の任期更新など)
頻繁(年4回以上)経営が不安定な可能性
ほとんど変更なし安定経営、または活動低調

2. 変更のパターン

複数の変更が同時期に発生している場合、大きな経営判断があったと推測できます。

同時期の変更考えられる状況
商号+目的+役員経営方針の大転換、M&A
本店+資本金事業拡大または縮小
役員の大量交代経営陣の刷新、内部対立

3. 登記の遅延

変更日と登記日の間隔が長い場合、何らかの事情がある可能性があります。

間隔評価
2週間以内通常
1ヶ月以上やや遅延
数ヶ月以上登記懈怠の可能性

登記の遅延は過料の対象となります。

注意すべき変更パターン

1. 短期間での連続変更

本店移転(令和4年4月)
  ↓
本店移転(令和4年10月)
  ↓
本店移転(令和5年2月)

短期間で何度も本店を移転している場合は、経営の不安定さやトラブルの可能性があります。

2. 代表取締役の頻繁な交代

代表取締役就任(令和3年6月)A氏
  ↓
代表取締役退任(令和4年3月)A氏
代表取締役就任(令和4年3月)B氏
  ↓
代表取締役退任(令和5年1月)B氏
代表取締役就任(令和5年1月)C氏

代表者が頻繁に交代している場合は、経営上の問題がある可能性があります。

3. 大幅な減資

資本金の額  金1億円 → 金100万円

大幅な減資は、累積赤字の解消や税制上の理由が考えられますが、財務状況の悪化を示唆する場合もあります。

閉鎖事項証明書の活用

3年以上前の履歴を確認したい場合は、閉鎖事項証明書を取得します。

確認できる情報

  • 3年以上前の役員の就退任
  • 過去の本店所在地
  • 過去の商号
  • 組織変更前の情報

取得方法

法務局の窓口またはオンラインで、閉鎖事項証明書を請求できます。

まとめ

登記履歴から以下の情報を読み取ることができます。

確認項目分かること
変更の種類商号・本店・目的・資本金・役員の変遷
変更の頻度経営の安定性
変更のタイミング経営判断の背景
同時期の変更大きな経営方針の転換

履歴事項全部証明書を読むことで、会社の「過去3年間の歩み」を把握できます。気になる変更があれば、他の情報と合わせて確認しましょう。

次の記事では、登記簿の取得方法を解説します。