ROE・ROAの意味と計算方法|収益性を測る重要指標
ROE(Return on Equity)とROA(Return on Assets)は、企業の収益性を測る最も重要な指標です。投資家が企業を評価する際の基本となる指標を詳しく解説します。
ROEとは
定義と計算式
ROE(自己資本利益率)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
株主が出したお金(自己資本)に対して、どれだけのリターン(利益)を生み出しているかを示す指標です。
具体例
| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 当期純利益 | 100億円 | 50億円 |
| 自己資本 | 1,000億円 | 250億円 |
| ROE | 10% | 20% |
利益額はA社が大きいですが、株主資本の効率はB社の方が優れています。
ROEの目安
| 水準 | 評価 |
|---|---|
| 15%以上 | 非常に優良 |
| 10〜15% | 優良 |
| 8〜10% | 平均的 |
| 8%未満 | 要改善 |
※2014年の「伊藤レポート」では、グローバルな投資家と対話する際の最低ラインとして「ROE 8%以上」が目標として提言されました。ただし、これは東証の制度上の上場維持基準ではありません。
ROAとは
定義と計算式
ROA(総資産利益率)= 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
会社の全資産を使って、どれだけのリターンを生み出しているかを示す指標です。
ROEとの違い
| 指標 | 分母 | 何を見ているか |
|---|---|---|
| ROE | 自己資本 | 株主のお金の効率 |
| ROA | 総資産 | 会社全体の資産効率 |
ROAは負債も含めた総資産に対する利益率です。ただし、当期純利益ベースで計算する場合は支払利息が差し引かれるため、借入の多寡が利益に影響します。資金調達方法の影響を完全に排除したい場合は、EBIT(利払前・税引前利益)÷総資産で計算する方法もあります。
ROAの目安
| 水準 | 評価 |
|---|---|
| 5%以上 | 優良 |
| 3〜5% | 良好 |
| 1〜3% | 平均的 |
| 1%未満 | 要改善 |
ROEを分解する(デュポン分析)
ROEは3つの要素に分解できます。これをデュポン分析と呼びます。
ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
= 純利益 × 売上高 × 総資産
──── ──── ────
売上高 総資産 自己資本
3つの要素の意味
| 要素 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| 売上高純利益率 | 純利益÷売上高 | 収益性(どれだけ利益を残せるか) |
| 総資産回転率 | 売上高÷総資産 | 効率性(資産を活用できているか) |
| 財務レバレッジ | 総資産÷自己資本 | 負債活用度(借入を使っているか) |
分解例
| 項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 売上高純利益率 | 10% | 5% | 3% |
| 総資産回転率 | 0.5回 | 1.0回 | 1.5回 |
| 財務レバレッジ | 2倍 | 2倍 | 3倍 |
| ROE | 10% | 10% | 13.5% |
3社ともROEは似た水準ですが、稼ぎ方が異なります:
- A社: 高利益率で稼ぐ(ブランド力)
- B社: バランス型
- C社: 借入を活用してROEを高めている
ROEの注意点
1. レバレッジによる嵩上げ
借入金を増やすと、自己資本比率が下がり、ROEは上昇します。
例:純利益100億円の企業
パターン1: 自己資本1,000億円 → ROE 10%
パターン2: 自己資本500億円(残り500億円は借入)→ ROE 20%
ROEだけ見るとパターン2が良く見えますが、財務リスクは高まっています。
対策: ROEと一緒に自己資本比率もチェックする
2. 自社株買いによる上昇
自社株買いをすると自己資本が減少し、ROEは上昇します。
成長投資より自社株買いを優先している可能性があるため、その背景を確認しましょう。
3. マイナスの自己資本
債務超過(自己資本がマイナス)の企業では、ROEを計算しても意味がありません。
ROEとROAの使い分け
ROEを重視するケース
- 株式投資の判断: 株主リターンの指標として
- 経営者評価: 株主価値の最大化ができているか
ROAを重視するケース
- 経営効率の評価: 資金調達方法に関わらない実力
- 業種間比較: 借入依存度が異なる業種を比較する際
- 財務リスクを除外: レバレッジ効果を排除して見たい場合
両方を見る
| ROE | ROA | 解釈 |
|---|---|---|
| 高い | 高い | 実力で稼いでいる優良企業 |
| 高い | 低い | レバレッジで底上げしている可能性 |
| 低い | 高い | 借入を活用すれば改善余地あり |
| 低い | 低い | 本業の収益力に課題 |
業種別の目安
| 業種 | ROE目安 | ROA目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 製造業 | 8〜12% | 4〜6% | 設備投資が大きい |
| 小売業 | 8〜15% | 3〜5% | 在庫回転が重要 |
| IT・ソフトウェア | 15〜25% | 10〜20% | 資産効率が高い |
| 銀行 | 5〜10% | 0.3〜0.5% | レバレッジ経営 |
| 不動産 | 8〜12% | 2〜4% | 借入依存度が高い |
当サイトでの確認方法
当サイトでは、上場企業の詳細ページで以下の財務指標を確認できます:
- ROE
- ROA
- 自己資本比率
- 売上高・各種利益
企業名で検索して、財務ハイライトをご確認ください。
まとめ
| 指標 | 計算式 | 見ているもの | 目安 |
|---|---|---|---|
| ROE | 純利益÷自己資本 | 株主資本の効率 | 10%以上 |
| ROA | 純利益÷総資産 | 総資産の効率 | 5%以上 |
ROEを分析する際は:
- デュポン分析で3要素に分解
- 財務レバレッジの影響を確認
- 自己資本比率と合わせて見る
次の記事では、自己資本比率について詳しく解説します。