ROE・ROAの意味と計算方法|収益性を測る重要指標

決算書の読み方8分で読める編集部

ROE(Return on Equity)とROA(Return on Assets)は、企業の収益性を測る最も重要な指標です。投資家が企業を評価する際の基本となる指標を詳しく解説します。

ROEとは

定義と計算式

ROE(自己資本利益率)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

株主が出したお金(自己資本)に対して、どれだけのリターン(利益)を生み出しているかを示す指標です。

具体例

項目A社B社
当期純利益100億円50億円
自己資本1,000億円250億円
ROE10%20%

利益額はA社が大きいですが、株主資本の効率はB社の方が優れています。

ROEの目安

水準評価
15%以上非常に優良
10〜15%優良
8〜10%平均的
8%未満要改善

※2014年の「伊藤レポート」では、グローバルな投資家と対話する際の最低ラインとして「ROE 8%以上」が目標として提言されました。ただし、これは東証の制度上の上場維持基準ではありません。

ROAとは

定義と計算式

ROA(総資産利益率)= 当期純利益 ÷ 総資産 × 100

会社の全資産を使って、どれだけのリターンを生み出しているかを示す指標です。

ROEとの違い

指標分母何を見ているか
ROE自己資本株主のお金の効率
ROA総資産会社全体の資産効率

ROAは負債も含めた総資産に対する利益率です。ただし、当期純利益ベースで計算する場合は支払利息が差し引かれるため、借入の多寡が利益に影響します。資金調達方法の影響を完全に排除したい場合は、EBIT(利払前・税引前利益)÷総資産で計算する方法もあります。

ROAの目安

水準評価
5%以上優良
3〜5%良好
1〜3%平均的
1%未満要改善

ROEを分解する(デュポン分析)

ROEは3つの要素に分解できます。これをデュポン分析と呼びます。

ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ

     = 純利益   ×  売上高  × 総資産
       ────     ────     ────
       売上高    総資産    自己資本

3つの要素の意味

要素計算式意味
売上高純利益率純利益÷売上高収益性(どれだけ利益を残せるか)
総資産回転率売上高÷総資産効率性(資産を活用できているか)
財務レバレッジ総資産÷自己資本負債活用度(借入を使っているか)

分解例

項目A社B社C社
売上高純利益率10%5%3%
総資産回転率0.5回1.0回1.5回
財務レバレッジ2倍2倍3倍
ROE10%10%13.5%

3社ともROEは似た水準ですが、稼ぎ方が異なります:

  • A社: 高利益率で稼ぐ(ブランド力)
  • B社: バランス型
  • C社: 借入を活用してROEを高めている

ROEの注意点

1. レバレッジによる嵩上げ

借入金を増やすと、自己資本比率が下がり、ROEは上昇します。

例:純利益100億円の企業

パターン1: 自己資本1,000億円 → ROE 10%
パターン2: 自己資本500億円(残り500億円は借入)→ ROE 20%

ROEだけ見るとパターン2が良く見えますが、財務リスクは高まっています。

対策: ROEと一緒に自己資本比率もチェックする

2. 自社株買いによる上昇

自社株買いをすると自己資本が減少し、ROEは上昇します。

成長投資より自社株買いを優先している可能性があるため、その背景を確認しましょう。

3. マイナスの自己資本

債務超過(自己資本がマイナス)の企業では、ROEを計算しても意味がありません。

ROEとROAの使い分け

ROEを重視するケース

  • 株式投資の判断: 株主リターンの指標として
  • 経営者評価: 株主価値の最大化ができているか

ROAを重視するケース

  • 経営効率の評価: 資金調達方法に関わらない実力
  • 業種間比較: 借入依存度が異なる業種を比較する際
  • 財務リスクを除外: レバレッジ効果を排除して見たい場合

両方を見る

ROEROA解釈
高い高い実力で稼いでいる優良企業
高い低いレバレッジで底上げしている可能性
低い高い借入を活用すれば改善余地あり
低い低い本業の収益力に課題

業種別の目安

業種ROE目安ROA目安特徴
製造業8〜12%4〜6%設備投資が大きい
小売業8〜15%3〜5%在庫回転が重要
IT・ソフトウェア15〜25%10〜20%資産効率が高い
銀行5〜10%0.3〜0.5%レバレッジ経営
不動産8〜12%2〜4%借入依存度が高い

当サイトでの確認方法

当サイトでは、上場企業の詳細ページで以下の財務指標を確認できます:

  • ROE
  • ROA
  • 自己資本比率
  • 売上高・各種利益

企業名で検索して、財務ハイライトをご確認ください。

まとめ

指標計算式見ているもの目安
ROE純利益÷自己資本株主資本の効率10%以上
ROA純利益÷総資産総資産の効率5%以上

ROEを分析する際は:

  1. デュポン分析で3要素に分解
  2. 財務レバレッジの影響を確認
  3. 自己資本比率と合わせて見る

次の記事では、自己資本比率について詳しく解説します。