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入札で落札できない会社がやりがちな5つの失敗

10分で読める編集部

入札に何度参加しても落札できない——そんな会社には、だいたい共通のパターンがあります。逆に言えば、ここで紹介する5つの失敗を避けるだけで、落札率は目に見えて上がるはず。どれも派手なテクニックではなく、地味な基本動作の話です。

失敗1:予定価格の読みがズレている

入札で最も多い敗因がこれ。予定価格(発注機関が設定する上限額)を大幅に超えた入札は自動的に無効。かといって、安すぎれば利益が出ない。

予定価格は原則として非公開ですが、手がかりはあります。

  • 過去の同種案件の落札金額 — 同じ発注機関が毎年出している案件なら、前年の落札額がそのまま参考になる
  • 設計書・積算基準 — 建設工事なら公共建築工事積算基準、IT案件ならSEC(情報処理推進機構)のソフトウェア開発見積もりガイドなど
  • 落札率の相場 — 同種案件の落札率(落札価格÷予定価格)が90〜95%に収束しているなら、その範囲で勝負する

「相場を知らずに入札するのは、目隠しでダーツを投げるようなもの」。まずは過去データを徹底的に調べることから始めましょう。

失敗2:仕様書の読み込みが浅い

仕様書はざっと目を通しただけ。入札書に金額だけ書いて提出。これでは落札どころか、見当違いの金額で恥をかくことになりかねません。

仕様書を読むときに確認すべきチェックリスト。

  • 数量と単位 — 「100本」と「100箱(1箱10本入り)」は10倍違う。意外と見落とす
  • 納品場所と納期 — 離島への配送や年度末の短納期は、コストに直結する
  • 品質要件 — 「JIS規格準拠」「ISO認証取得済みの企業に限る」など、参加条件に含まれていないか
  • 支払条件 — 前払い・出来高払い・完了後一括払いでキャッシュフローが変わる
  • 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)の範囲と期間

ある文房具販売会社の例。仕様書に「環境対応製品であること」と1行あるのを見落とし、通常製品で見積もって入札した結果、開札後に無効とされた。金額は最安だったのに、です。

失敗3:実績アピールが下手

総合評価方式やプロポーザルで落ちる会社に多いのが、実績の見せ方が雑なパターン。

よくある失敗。

  • 実績一覧をずらっと並べるだけで、案件との関連性が伝わらない
  • 「大規模システム開発の実績多数」のような抽象的な表現
  • 受注実績はあるのに、成果や効果に触れていない

評価者は短時間で大量の提案書を読みます。「この会社は今回の案件に必要な能力を持っている」と一目で分かるように、案件の要件に対応する形で実績を整理するのがコツ。

たとえば、案件の評価項目が「大規模データ移行の経験」「セキュリティ対策の実績」「24時間運用保守の体制」の3つなら、自社の実績もこの3軸で整理して提示する。同じ実績でも見せ方ひとつで点数が変わります。

失敗4:入札書の形式不備

これは本当にもったいない。内容以前の問題で失格になるケースです。

実際にあった形式不備の例。

  • 社印の押し忘れ — 電子入札では電子証明書で代替されるが、紙の入札ではいまだに起きる
  • 入札書の日付間違い — 開札日ではなく入札書の提出日を記載すべきところで逆にしてしまう
  • 金額の訂正方法のミス — 二重線+訂正印が必要なのに修正テープで消してしまう
  • 消費税の扱い — 「税抜き金額を記載すること」と指定されているのに税込みで書く
  • 提出期限に間に合わない — 電子入札で期限の17時をギリギリに設定し、システムの混雑で送信できなかった

これらを防ぐには、提出前のダブルチェック体制を作ること。入札書の作成者と確認者を分ける。チェックリストを用意する。そして提出は期限の2〜3日前に済ませる。当たり前のことですが、この当たり前ができていない会社は多い。

失敗5:情報収集が遅い

案件の公告が出てから慌てて準備を始める——これでは後手に回ります。

公告から入札まで、最低価格落札方式なら2〜3週間、総合評価方式なら1〜2ヶ月が一般的。短いようで、見積もりの精査や書類準備を考えると十分とは言えません。

情報収集で差をつけるポイント。

  • 過去の発注パターンを把握する — 多くの発注機関は、毎年同じ時期に同じような案件を出す。去年4月に出た案件は今年も4月に出る可能性が高い
  • 入札情報サービスのアラート機能を活用 — キーワードや発注機関を登録しておけば、公告が出た瞬間に通知が届く
  • 予算書をチェックする — 自治体の予算書は公開されている。来年度にどんな事業が予定されているか、入札前に把握できる
  • 事前の情報公開を見逃さない — 国の機関では、入札公告の前に「調達予定情報」として概要が公開されることがある

要するに、入札は公告が出る前から始まっている。勝てる会社は、案件が公告される頃にはすでに準備が7割終わっています。

共通する根本原因

5つの失敗に共通するのは「準備不足」です。入札は提出して終わりではなく、情報収集→分析→準備→提出→振り返りの繰り返し。落札できなかった案件でも、開札結果(落札者名・落札金額)を確認して次に活かせば、回数を重ねるごとに精度は上がります。

不落(落札者なし)の結果さえも、「自分の金額が予定価格をどれくらいオーバーしていたか」を推測する材料になる。データを蓄積し、PDCAを回すこと。地味ですが、これが落札への最短ルートです。

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