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建設工事の入札のしくみ — 業種区分から落札まで

9分で読める編集部

建設工事の入札は、物品やサービスの入札とは別世界です。建設業法という独自の法律に縛られ、許可の業種区分、経営事項審査(経審)、技術者の配置——クリアすべきハードルが段違いに多い。その分、参入障壁が高く、一度軌道に乗れば安定した受注が見込めるのも事実です。

建設業許可の29業種

建設工事の入札に参加するには、まず建設業許可が必要です。許可は29の業種に分かれていて、自社が持っている許可業種に対応した工事しか受注できません。

主な業種を挙げると——

  • 土木一式工事、建築一式工事(元請として総合的にマネジメントする工事)
  • とび・土工・コンクリート工事(基礎工事、足場工事など)
  • 電気工事、管工事(設備系)
  • 舗装工事、塗装工事、防水工事(専門工事)

「一式工事」の許可を持っていても、専門工事を単独で受注するには当該専門工事の許可が要ります。ここを誤解して入札に参加し、資格審査で落とされるケースが少なくありません。

許可には「一般建設業」と「特定建設業」があり、下請に出す金額が4,500万円(建築一式は7,000万円)以上になる元請工事を受注するには特定建設業の許可が必要です。

経審の点数——入札参加の生命線

建設工事の入札に参加するうえで避けて通れないのが経営事項審査、いわゆる経審。公共工事を受注したい建設業者は、毎年この審査を受ける義務があります。

経審では「総合評定値(P点)」という点数が算出されます。P点は以下の5項目から計算される。

項目記号内容
経営規模X1完成工事高(売上)
経営規模X2自己資本額・利払前税引前償却前利益
技術力Z技術者数・元請完成工事高
社会性等W労働福祉、建設業経理士、防災活動など
経営状況Y経営状況分析(財務諸表ベース)

P点 = 0.25×X1 + 0.15×X2 + 0.20×Y + 0.25×Z + 0.15×W

この点数が高いほど上位の格付け(等級)になり、大きな工事の入札に参加できるようになります。

格付けとは何か

発注機関は、経審の点数をもとに建設業者を等級に分けます。国土交通省の直轄工事なら、たとえば土木一式工事でA〜D等級に区分。等級ごとに参加できる工事の予定価格帯が決まっています。

  • A等級 — おおむね7.2億円以上の大規模工事
  • B等級 — 3億〜7.2億円
  • C等級 — 6,000万〜3億円
  • D等級 — 6,000万円未満

自治体も同様の格付けを行いますが、等級の区分や基準は自治体ごとに異なります。中小建設会社がC〜D等級から始めて、実績と経審の点数を積み上げながらステップアップしていくのが王道のルートです。

配置技術者の要件

建設工事では、現場に一定の資格を持つ技術者を配置しなければなりません。ここが物品・役務の入札との大きな違い。

  • 主任技術者 — すべての建設工事に配置が必要。実務経験または国家資格が要件
  • 監理技術者 — 特定建設業者が元請として4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)を下請に出す場合に必要。1級施工管理技士などの上位資格が求められる
  • 現場代理人 — 請負業者の代理として現場に常駐する人。法律上の必須要件ではないが、契約で求められることが多い

入札の時点で「この技術者を配置します」と届け出る必要があり、同時期に別の現場に配置されている技術者は使えません。つまり、技術者の人数が受注可能な案件数の上限を決める。人材確保が建設業界の入札戦略に直結する理由はここにあります。

建設工事特有の入札ルール

物品や役務の入札と比べて、建設工事の入札には以下のような特徴があります。

低入札価格調査制度が厳格 — ダンピング受注を防ぐため、調査基準価格を下回った入札は自動失格(最低制限価格方式)か、詳細な調査の対象になります。「安ければ勝ち」という単純な話ではない。

施工計画の提出 — 総合評価方式では、価格だけでなく施工計画書の内容が評価されます。工程表、品質管理計画、安全対策——こうした技術提案の質が点数に反映される。

JV(共同企業体) — 大規模工事では、複数の建設業者がJVを組んで入札に参加するケースが多い。単独では格付けが足りない工事でも、JVなら参加できる場合があります。

前払金制度 — 公共工事では、契約金額の4割を上限として前払金を受け取れる仕組みがある。資金繰りが厳しい中小建設会社にとって、これは大きな助けになります。

参入のポイント

建設工事の入札は準備に時間がかかります。建設業許可の取得に1〜2ヶ月、経審の申請から結果通知まで約1ヶ月、その後に各発注機関への入札参加資格申請——全部合わせると、ゼロからのスタートで半年以上は覚悟しておいたほうがいい。

ただし、一度この仕組みに乗ってしまえば、毎年の経審と資格更新を忘れなければ継続的に入札に参加できます。建設工事は参入障壁の高さがそのまま競争相手の少なさにつながるため、地道に格付けを上げていく価値は十分にあるでしょう。

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