最低制限価格とは
「安ければ安いほどいい」。入札の世界ではこの考え方が必ずしも通用しません。
最低制限価格は、入札における価格の下限です。この金額を下回る入札をした事業者は、理由を問わず自動的に失格になります。どんなに技術力があっても、どんなに実績があっても、です。
なぜ下限が必要なのか
極端な安値で受注されると何が起きるか。手抜き工事、下請企業へのしわ寄せ、労働者の待遇悪化、そして受注企業自身の経営悪化。安すぎる契約は関係者全員を不幸にします。
こうした「ダンピング受注」を防ぐために設けられたのが最低制限価格です。地方自治法第167条の10第2項に根拠があります。
金額の水準
最低制限価格は通常、予定価格の70〜90%程度に設定されます。直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費の各要素を一定の割合で計算して算出しますが、具体的な計算式は発注機関によってまちまちです。
最低制限価格は通常非公表なので、入札者は正確な数字を知ることができません。過去の同種案件の落札率(落札金額÷予定価格)を調べて、おおよその水準を推測する人もいます。
国の調達では使われない
注意してほしいのは、最低制限価格制度は主に地方公共団体で導入されているという点です。
国(中央省庁)の調達では最低制限価格制度は採用されていません。代わりに「低入札価格調査制度」が使われます。こちらは安値入札を一律に排除するのではなく、「本当にその金額で履行できるか」を個別に調査する仕組みです。
地方公共団体ではどちらの制度を使うかを選べるようになっており、案件によって使い分けているところもあります。
気をつけたいこと
「安く出せば勝てる」と思って攻めた結果、最低制限価格を割って失格、というのは実際によくある話です。特に競争が激しい案件では、最低制限価格のすぐ上に複数の入札が集中することも珍しくありません。
無理な安値入札は失格リスクが高いだけでなく、仮に落札できたとしても赤字案件を抱え込むことになりかねません。適正な利益を確保できる価格で入札することが、長い目で見て最善の戦略です。