株式会社・合同会社・有限会社の入札・落札傾向を比較 - 法人種別と政府調達
はじめに
官公需(政府調達)を受注する企業と言えば、大手の株式会社をイメージする方が多いかもしれません。では実際に、法人の種類によって受注傾向にどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、会社情報DXが保有する落札データ293,424件(落札金額ありのもの)を法人種別ごとに集計し、受注件数・金額・規模感の違いを分析しました。
分析データの概要
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 分析対象の落札件数 | 293,424件 |
| 対象企業数 | 22,217社 |
| データ出典 | 政府電子調達システム(調達ポータル) |
| 法人番号の出典 | 国税庁法人番号公表サイト |
| データ取得日 | 2026年3月25日時点 |
※ 上場企業だけでなく、法人番号が紐づく全法人が対象です。
法人種別ごとの受注件数
件数ベースでは**株式会社が全体の86.5%**を占め、圧倒的です。2位はNPO法人や協同組合などを含む「その他法人」で8.2%、3位が有限会社で4.4%です。
※ 上記は主要4分類を表示。合名会社・合資会社・外国会社等の少数カテゴリは下表に掲載しています。
注目すべきは「合同会社」の1件あたり金額
件数こそ全体の0.8%にすぎない合同会社ですが、1件あたりの平均落札金額は主要法人種別の中で最も高い値を示しています。
法人種別ごとの平均・中央値比較
| 法人種別 | 企業数 | 件数 | 平均落札金額 | 中央値 | 合計金額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 合同会社 | 161社 | 2,423件 | 6,341万円 | 1,483万円 | 1,536億円 |
| 株式会社 | 18,486社 | 253,916件 | 3,217万円 | 410万円 | 8兆1,689億円 |
| その他法人 | 2,024社 | 24,002件 | 2,947万円 | 670万円 | 7,074億円 |
| 有限会社 | 1,498社 | 12,815件 | 901万円 | 250万円 | 1,155億円 |
| 外国会社等 | 6社 | 31件 | 6,795万円 | 873万円 | 21億円 |
| 合資会社 | 23社 | 110件 | 600万円 | 230万円 | 7億円 |
| 合名会社 | 2社 | 22件 | 189万円 | 190万円 | 0.4億円 |
※ 合計金額は実データの合算値であり、平均値×件数とは丸めにより若干の差があります。
合同会社の平均落札金額(6,341万円)は株式会社(3,217万円)の約2倍、有限会社(901万円)の約7倍です。
合同会社の高額受注の背景
合同会社(LLC)は2006年の会社法施行で新設された法人形態です。設立コストが低く、出資者の有限責任が確保されるため、大手企業の日本法人や**プロジェクト単位の特定目的会社(SPC)**として利用されるケースが多くあります。
実際、合同会社として官公需を受注している企業には、以下のような特徴が見られます。
- 外資系IT企業の日本法人(システム開発・クラウドサービスの調達)
- エネルギー関連のSPC(再生可能エネルギー事業の入札)
- コンサルティング会社(各種調査・分析業務の受託)
こうした企業が含まれていることが、合同会社の平均落札金額を押し上げている一因と考えられます。
金額帯別の構成比の違い
法人種別ごとに、どの金額帯の案件を多く受注しているかを見ると、構成の違いが鮮明です。
株式会社の金額帯分布
| 金額帯 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 100万未満 | 36,281件 | 14.3% |
| 100万〜1000万 | 148,830件 | 58.6% |
| 1000万〜1億 | 58,935件 | 23.2% |
| 1億以上 | 9,870件 | 3.9% |
合同会社の金額帯分布
| 金額帯 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 100万未満 | 215件 | 8.9% |
| 100万〜1000万 | 757件 | 31.2% |
| 1000万〜1億 | 1,244件 | 51.3% |
| 1億以上 | 207件 | 8.5% |
株式会社は100万〜1000万円帯が58.6%と最も多いのに対し、合同会社は**1000万〜1億円帯が51.3%**で最大のボリュームゾーンとなっています。1億円以上の構成比も合同会社(8.5%)が株式会社(3.9%)の2倍以上です。
有限会社の金額帯分布
| 金額帯 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 100万未満 | 2,844件 | 22.2% |
| 100万〜1000万 | 8,129件 | 63.4% |
| 1000万〜1億 | 1,642件 | 12.8% |
| 1億以上 | 200件 | 1.6% |
有限会社は100万〜1000万円帯が63.4%を占め、小〜中規模案件が中心です。2006年以降は新規設立できないため、長年の実績を持つ地場企業が多いと考えられます。
まとめ
- 件数は株式会社が圧倒的(86.5%)。 ただし、これは日本の法人の大多数が株式会社であることを反映しているにすぎない
- 合同会社は件数こそ少ない(0.8%)が、1件あたりの平均金額は主要法人種別の中で最も高い(6,341万円)。 外資系IT企業やSPCなどの存在が一因と考えられる
- 有限会社は小〜中規模案件が中心。 100万〜1000万円帯が63.4%を占める
- 法人種別だけで「受注力」を判断することはできない。 背後にある事業規模や専門性が、実際の受注金額を決定づけている
会社情報DXでは、落札実績の検索から法人種別や企業名で受注実績を調べることができます。また、入札公告の検索で現在公示中の案件も確認できます。